文楽人形遣い吉田簑助さんの日経新聞「私の履歴書」の連載がこの9月にありました。情報集めで、いろんな検索をしていますが、この連載を読んで、文楽をみてみたいという感想をかかれているブログをいくつか見つけました。そこで、ちょっと私なりの「文楽への誘い」を書いてみました。
簑助さんは、多くの方々に文楽をみてほしいので、国立劇場や国立文楽劇場だけでなく、自ら全国各地に赴いて公演をしていきたいと本にも書かれています。ここしばらくは、病後のこともあり、地方巡業公演への出演はひかえていたようですが、昨年からご出演。
10月公演では、昼の部で「近頃河原の達引」いうお芝居で”猿回し与次郎”を遣います。女形人形遣いで有名な方ですが、それよりも有名なのは、
「生けるがごとき人形の遣い手」であるということ。
本来、”聴き”にいく文楽を、”観る”にも変えてしまった文楽の華。かくいう私も観てばっかり。是非、生ける人形をみてほしい。
でも、
「セリフ(浄瑠璃)とか難しいんでしょ、言葉わからなそう」なんて言わないで、まずは見て欲しい。 洋画みて、セリフ全部わかんないですよね(英語が得意な人は別)。字幕の字数制限で、シナリオのセリフ全部読んでいるわけじゃない。でも、おもしろいものはおもしろいじゃないですか。洋楽だって、歌詞の意味わかってなくても、好きな曲ってあるじゃないですか。それと同じだと思って、まずは劇場にいってみる。
とかいって、
やっぱり予習とかしなくちゃわからないんじゃないの?という方、歌舞伎でもそうですが、私は予習より復習をすすめます。見終わって、一緒にいった人とプログラムをみながら、そうだったわねぇ〜なんていうのが一番楽しいんじゃないかしら。あんまり筋がわかっちゃうとつまらない。初見の楽しみは一度だけ。最初は、なんだか筋がわからないところがあったけど、あのお人形が綺麗だったとか、三味線の音が腹にきたとか、太夫って大きないろんな声だすのねとかなんじゃないかしら。よっぽど相性がいい人は別でしょうが。
特に、
歌舞伎ならたまにみるけど・・・という人にお勧め。もう予習は済んだようなもの。
歌舞伎って、おじいさんみたいな人がお姫さまをやるのがどうにも・・・という人にはもっとお勧め。お人形はそういう破綻がありません(お断り:おじいさんがやるお姫さまにはそれなりの深みがあります)。
歌舞伎の地方巡業公演って、知らない人が多いから、文楽もそうなんじゃないの?という方、えっと、えっっとー、歌舞伎の巡業は本体を歌舞伎座においたままの公演なので、どうしても座組がうすい(お許しあれ)ようにみえます(が、普段みられないものがみられておもしろい)が、文楽は違います。文楽座の3分の2近くの技芸員さんが一座を組んでの公演です(きっと)。国立劇場などの本公演と比べてそんなに遜色はありません。
文楽って、人形の後ろに人間がみえるのがどうにも・・・という方、不思議と後ろの人間はみえなくなります。そして、やがて、後ろで人形を遣っている人形遣いの姿すら楽しめるようになります。
いずれも私の経験です(笑)。
あとは好みにあうかどうか。こればっかりはみてみないとわからない。 世の中にはおもしろいものがたくさんあるし、私は文楽や歌舞伎は何度みてもおもしろいけど、宝塚とかは何度かみたけど結局だめでした。劇団四季ものは、新作は一度はみてみたいと思うが、何度もみたいわけじゃない。好きにもいろんな程度がある。
文楽、一度はみてみたかったのよねという方には、今回の地方公演を特にお勧めします。解説もあるし、比較的わかりやすい演目が多いし、時間も短め(これは初めてのときは重要だと思う。もうちょっとくらいがいいんですよ)。
特にお薦めなのが、昼の部の
「義経千本桜・道行初音旅」という演目。これが、最高に素敵な踊り(文楽では「景事(けいごと・けいじ)」といいます)なんです。えっ〜、踊り苦手〜と思った方、いやいやこれはきっと大丈夫。狐の人形がでたり、扇を投げてひっくりかえしちゃったり、ピューッと飛ばして見事にキャッチしたり、軽やかな拍子の曲も素晴らしい。これがだめなら、もう勧めません(笑)。
昼の部はほかに簑助さん出演の
「近頃河原の達引」。お猿さん(もちろん人形)がでます。私は歌舞伎でしか見てませんが、切ないけれど心がほんわかするいいお話なんです。与次郎はとっても優しい兄さんです。
<追記:3月のおすすめ>来年3月は玉女さんが与次郎を遣われます。玉女さんは今まさに遣い盛り。これからの文楽を間違いなく背負っていかれる方。みないでどーするっ!おしゅん@文雀さん(人間国宝)、伝兵衛@和生さんの師弟コンビも楽しみです。そして、なんてたって床ですよ。無類のおもしろさの伊達大夫さん、そこに寛治さん(人間国宝)の三味線。なんて素敵な配役♪ そして、嶋大夫さんが”猿回し”を語るなんて、おもしろすぎじゃあないでしょうか。</追記>
夜の部の
「伊達娘恋緋鹿子」はいわゆる”櫓のお七”です。これはもう素直に驚きます。いったいどうなっているの?と。
「生写朝顔話」はお人形が琴を弾く場面もあるし、みどころいっぱい。主役の深雪又は朝顔を遣われるは、簑助・文雀さんにつぐ女形人形遣いの紋寿さん。きっと素敵な深雪だと思います。
<追記>3月の深雪後に朝顔を遣うのは和生さん。師匠である文雀さん譲りの繊細な遣いでしょうか。楽しみです。</追記>
みたいけど文楽ってチケットとるの大変なんでしょという方、それは、東京の国立劇場の初日明けの土日のチケットです。なんでもすぐ満席というわけではありません。
10月5日から全国各地をまわる文楽公演がはじまりますので、地方公演の日程と、劇場HPなどへのリンクを貼ってみました。 地方公演のチケットは早くから売り出しされていますが、もうないんじゃないかしら?と思わないで、まずはお近くの劇場に問い合わせてみてはいかがでしょう。
チケットぴあでも売っているものもあります。ぴあなどで売り切れでも、それは扱い所の割当分で、劇場チケットは別にあることが多いです。
チケットが売り切れだったり、10月は日程があわなくても、来年3月にも地方公演があります。演目は同じ。配役が異なります。
3月公演の方には簑助さんは出演されませんが、生けるがごとき人形の遣い手は、まだまだ他にも大勢。太夫の語りもすごいし、三味線はデーンと腹にきます。10月も、3月も、きっと素敵な舞台をみせて聴かせてくれるでしょう。どちらがいいかは日程次第。
今回の日経の連載で、文楽に興味をもった方、是非。
文楽地方公演一覧 昼の部 「近頃河原の達引」「義経千本桜 道行初音旅」
夜の部 「伊達娘恋緋鹿子」「生写朝顔話」 配役表は
こちら(野澤錦糸さんの応援サイトの公演予定で確認できます)
2008年3月公演
2日(日)【出雲市】
大社文化プレイス うらら館 14:00 18:00 3000円
5日(水)【広島市】
アステールプラザ・中ホール
1階席4,000円 2階席2,000円
6日(木)【長門市】
ルネッサながと劇場 14:00 18:00
1階4000(通し割引あり) 2階2500
7日(金)【大分市】
iichiko総合文化センター 8日(土)【北九州市】
戸畑市民会館 S・3000円 A・2000円
9日(日)【鹿児島市】
かごしま県民交流センター 14:00 18:00
S3500 A2500
12日(水)【姫路市】
キャスパホール 13日(木)【尼崎市】
アルカイックホール・オクト 3500円
14日(金)【茨木市】
茨木市民会館 大ホール
14:00 18:30 各回3000
16日(日)【豊橋市】
豊橋市民文化会館 14:00 18:00
A4,000 B3,500 高校校生以下(B席)1,000
17日(月)【東京】
大田 区民プラザ東急下丸子からすぐ
13:30 18:00 各回3,500
18日(火)【新潟市】
りゅーとぴあ 14:00 18:30 S4,000、A3,000、B2,500、限定昼夜セット券6,500
20日(木)【東京】
前進座劇場 吉祥寺駅から徒歩15分
5,800円 当日6,300円 学生4,500円 通し11,000円
21日(金)【水戸市】
茨城県民文化センター 4000円 学生1000円
22日(土)【茅ヶ崎市】
茅ヶ崎市民文化会館 14:00 18:00
大人4,000円 大学生:2,000円 高校生〜小学生:1,000円
23日(日)【津市】
三重県総合文化センター S席3,000円 A席2,000円 B席1,000円 (通し割引あり)
私もブログなどで簔助さんのことがかかれているのを見つけるとつい「今度地方公演がありますよ!」とコメント書いてしまう怪しい奴になっています(汗
また、魅力と感じるポイントもそれぞれやなあとも。
私は完全予習派、予備知識なしでは全くダメでした。
正直なとこ、お稽古ごとの関係で「仕方なく」何度か通ううちあらすじをチェックしてようやく面白くなり、床本読んで完全にはまりました。
そして千本道行は実は今でもあんまり好きではなく…登場人物の心の動きに感情移入するのが最大の楽しみなんですがどうもそのあたりが感じられなくて(おぃッ!踊ってるバヤイやないやろ!と突っ込みたくなる)…技芸員さんには申し訳ないのですが。
今回の日経をきっかけに初めて文楽に触れる方、それぞれの心の琴線に触れることができればいいですね〜
10月2日に私の田舎で簑助さんの公演がありました。
昨年に続いて2度目です。
私の田舎は近松門左衛門ゆかりの地なので、
『お夏清十郎「五十年忌歌念仏」笠物狂いの段』を演じてくださいました。
とてもお元気そうでしたし、まだまだお若いですね!!
簑二郎さん達による『文楽人形あれこれ』も楽しかったです。
また来年も来ていただきたいです。
力作といっていただけてうれしゅうございます(涙)。
勝手に、地方公演大キャンペーン中です(笑)。
予習派ですか。私は歌舞伎みているんで、事実上予習しているかも。だいたい、あらすじは知ってますから。予習の程度がいろいろなのかもしれませんね。床本まで読んでおく人と、あらすじだけの人と。
私のお薦めは、あらすじは読む、でもそれも、はじまる直前でいいかなと。もともと、ややこしい話のときは薦めないんです。通し狂言なんかはつれていきません(笑)。
勝手にキャンペーンの一番のねらい目は、歌舞伎をみている人です。予習済なんですよ(笑)。いままで役者でみていたお話が、物語として見られるのが、私にとって文楽の一番の魅力。でも、ちょっと物足りないときもある。そんなとき、歌舞伎の魅せるおもしろさが恋しくなる。よく比較しちゃうんですけど、それは上下じゃない。この「いったりきたり」がとってもおもしろいなぁと、単独でみるより楽しめる気がしてます。
道行初音旅は、義経千本桜のお話全体をしっていると、浮かれて踊ってる場合じゃないよかもしれませんね。でも、浮かれて踊らせちゃう。それがまたお芝居なのかなと。
静も忠信も美男美女で華やか。でも心の奥底には悲しみを秘めている。継信に矢があたってしまうところは、超絶技にびっくりしながらもとても悲しい。私は、道行の二人に結構感情移入してます。
それまでみてきた、知盛の哀しさ、権太の無念さ、源平の戦いに散ったものたちの物語を、悲しいばかりじゃなく、桜いっぱいのあの華やかな舞台で飾ってあげたかったのかなと思ってます。
簑助さんの日経での連載をきっかけに、劇場に足を運んでくださるといいですよね。
あとは人それぞれ。
なにしろ、まずは劇場にいってみてもらわないことには始まらない。なので、予習なしでも大丈夫といって、多少だましているかも(笑)。でも、だまされてほしい。
新内節との舞台ですね、みたかったなぁ。毎年恒例だと楽しみも一層ですね。
福井の方には、今回の地方公演はないのは残念。
道行初音旅、以前の博多座公演で、玉三郎さんは文楽に近い踊りだったんですよ。それだと、静の見せ場が多いんです(ふふふ)。舞台で見たときは、いつものとは違うのはわかっても、どう違うのかわからず。いまとなっては、文楽みてればもっと味わえたのになぁと思ってます。
文楽のみなさんは、説明がお上手です。お人形たのしーですよね。
今度、福井に文楽公演がきたら、また是非っ!
と何度も頷きながら読んでしまいました!!
力作です
すごーいすごーい!
こういう記事書きたいのよねんとちょっと反省です(笑)
リンクがね、大変でした・・・。操作ミスしまくって、何度もおじゃんに・・・・。
ただ、この誘いは、”観る”人向けなんですよ。
文楽は観るより聴くだよという方も多そうなので、そこんところは、おりんさん、お願いします!
私もきいてないわけじゃないんですけど、ほとんど視覚に頼っているので、あとで床本読んで驚くことばっかり。えっ、そんなこといってた?って。
でも、そんな私でも大丈夫なのでという作戦で書いてみました(笑)。
予習っていうと、なんだか勉強みたいで嫌がる人が多そう(笑)。
そこでまずチラシなんですよ。写真入りがいいの。
これが静で義経の恋人、こっちが忠信で義経の家来。この二人が義経をおいかけて吉野山にいる。旅の合間に、義経を思い出して桜の中で踊っちゃう場面。お人形がいろんなことをしてくれるから楽しいよ。一瞬の技もあるから見逃しちゃだめよ。
これが必要な予習かなぁ。
それをはじまる前に座席に座りながらいうくらい。
チラシの後ろにあらすじがあるといいんですけどね。
私はまずプログラムを買うので、それをみせちゃうのもありですね。
道行は二人しかでないから、静と忠信が義経を思い出して踊るの。綺麗だよでもいいかも。
見終わって、あの鼓と鎧が義経のことなの?といってくれたら、うれしいですね。文楽向きの人です。次は通し狂言につれてっちゃいましょう(笑)
やはりブログ人側に問題があると思われ、成功しませんでした〜(ii)
3月も楽しみですね。
TBって、あまりうたないので、しくみがよくわかりません・・・
3月楽しみです。なんてったって、伊達大夫・嶋大夫のリレー語りの堀川ですよ♪♪
うひひひひ
おさるはめでたやが最高におもしろうそう。
床下でもとろうかと思いますが、でも床下だとみられない(太夫の姿をみるのも楽しみ)ので、床よりで視線をあげるとそこは床席をねらいたいものです。
親しみ易い文章での説得力ある 文楽へのお誘いに・・・感服致しました!
私も歌舞伎から文楽に入りました♪地方公演や鑑賞教室で歌舞伎でお馴染みの演目からでしたので、スンナリと文楽の世界にハマッテしまいました (^^ゞ
まこさまと同じく、歌舞伎と文楽を行ったりきたりしながらそれぞれの良さを楽しんでいます。
歌舞伎では省略されている場面などを文楽の通しで知ることによって、次に歌舞伎を見たときに筋が通って一層歌舞伎の楽しみが増したり・・・・
文楽を見ていて 「ああ、これは歌舞伎のアノ場面だわ!」「人形だと こんな大胆な表現もアリなのね!」とか、「義太夫って こんなに 心や体に響くものなんだ〜!」等など、驚きと感動の日々です♪
技芸員さん達の顔と名前も一致しない、まだまだ初心のワタクシですが、これからも歌舞伎と行ったり来たりで文楽を楽しみたいと思っています。
まこさまのブログの更新楽しみです♪今後とも宜しくお願いします。 長くてスミマセン (^^ゞ
はじめまして。
とってもうれしいコメントありがとうございます。
歌舞伎と文楽のいったりきたり、楽しいですよねー。
あれはこっちの方がおもしろいとか書いちゃいますけど、決して否定的じゃないんです。希望としては、いいところをとりあって、もっともっとおもしろくなってほしいです。
単独でみるより、何倍も楽しめる気がします。もちろんお金もかかっちゃいますけど・・・・。でもやめられない、いったりきたり。
これからもどうぞよろしくお願いします。