簑助さんは、多くの方々に文楽をみてほしいので、国立劇場や国立文楽劇場だけでなく、自ら全国各地に赴いて公演をしていきたいと本にも書かれています。ここしばらくは、病後のこともあり、地方巡業公演への出演はひかえていたようですが、昨年からご出演。
10月公演では、昼の部で「近頃河原の達引」いうお芝居で”猿回し与次郎”を遣います。女形人形遣いで有名な方ですが、それよりも有名なのは、「生けるがごとき人形の遣い手」であるということ。
本来、”聴き”にいく文楽を、”観る”にも変えてしまった文楽の華。かくいう私も観てばっかり。是非、生ける人形をみてほしい。
でも、 「セリフ(浄瑠璃)とか難しいんでしょ、言葉わからなそう」なんて言わないで、まずは見て欲しい。 洋画みて、セリフ全部わかんないですよね(英語が得意な人は別)。字幕の字数制限で、シナリオのセリフ全部読んでいるわけじゃない。でも、おもしろいものはおもしろいじゃないですか。洋楽だって、歌詞の意味わかってなくても、好きな曲ってあるじゃないですか。それと同じだと思って、まずは劇場にいってみる。
とかいって、やっぱり予習とかしなくちゃわからないんじゃないの?という方、歌舞伎でもそうですが、私は予習より復習をすすめます。見終わって、一緒にいった人とプログラムをみながら、そうだったわねぇ〜なんていうのが一番楽しいんじゃないかしら。あんまり筋がわかっちゃうとつまらない。初見の楽しみは一度だけ。最初は、なんだか筋がわからないところがあったけど、あのお人形が綺麗だったとか、三味線の音が腹にきたとか、太夫って大きないろんな声だすのねとかなんじゃないかしら。よっぽど相性がいい人は別でしょうが。
特に、歌舞伎ならたまにみるけど・・・という人にお勧め。もう予習は済んだようなもの。
歌舞伎って、おじいさんみたいな人がお姫さまをやるのがどうにも・・・という人にはもっとお勧め。お人形はそういう破綻がありません(お断り:おじいさんがやるお姫さまにはそれなりの深みがあります)。
歌舞伎の地方巡業公演って、知らない人が多いから、文楽もそうなんじゃないの?という方、えっと、えっっとー、歌舞伎の巡業は本体を歌舞伎座においたままの公演なので、どうしても座組がうすい(お許しあれ)ようにみえます(が、普段みられないものがみられておもしろい)が、文楽は違います。文楽座の3分の2近くの技芸員さんが一座を組んでの公演です(きっと)。国立劇場などの本公演と比べてそんなに遜色はありません。
文楽って、人形の後ろに人間がみえるのがどうにも・・・という方、不思議と後ろの人間はみえなくなります。そして、やがて、後ろで人形を遣っている人形遣いの姿すら楽しめるようになります。
いずれも私の経験です(笑)。
あとは好みにあうかどうか。こればっかりはみてみないとわからない。 世の中にはおもしろいものがたくさんあるし、私は文楽や歌舞伎は何度みてもおもしろいけど、宝塚とかは何度かみたけど結局だめでした。劇団四季ものは、新作は一度はみてみたいと思うが、何度もみたいわけじゃない。好きにもいろんな程度がある。
文楽、一度はみてみたかったのよねという方には、今回の地方公演を特にお勧めします。解説もあるし、比較的わかりやすい演目が多いし、時間も短め(これは初めてのときは重要だと思う。もうちょっとくらいがいいんですよ)。
特にお薦めなのが、昼の部の「義経千本桜・道行初音旅」という演目。これが、最高に素敵な踊り(文楽では「景事(けいごと・けいじ)」といいます)なんです。えっ〜、踊り苦手〜と思った方、いやいやこれはきっと大丈夫。狐の人形がでたり、扇を投げてひっくりかえしちゃったり、ピューッと飛ばして見事にキャッチしたり、軽やかな拍子の曲も素晴らしい。これがだめなら、もう勧めません(笑)。
昼の部はほかに簑助さん出演の「近頃河原の達引」。お猿さん(もちろん人形)がでます。私は歌舞伎でしか見てませんが、切ないけれど心がほんわかするいいお話なんです。与次郎はとっても優しい兄さんです。
<追記:3月のおすすめ>来年3月は玉女さんが与次郎を遣われます。玉女さんは今まさに遣い盛り。これからの文楽を間違いなく背負っていかれる方。みないでどーするっ!おしゅん@文雀さん(人間国宝)、伝兵衛@和生さんの師弟コンビも楽しみです。そして、なんてたって床ですよ。無類のおもしろさの伊達大夫さん、そこに寛治さん(人間国宝)の三味線。なんて素敵な配役♪ そして、嶋大夫さんが”猿回し”を語るなんて、おもしろすぎじゃあないでしょうか。</追記>
夜の部の「伊達娘恋緋鹿子」はいわゆる”櫓のお七”です。これはもう素直に驚きます。いったいどうなっているの?と。
「生写朝顔話」はお人形が琴を弾く場面もあるし、みどころいっぱい。主役の深雪又は朝顔を遣われるは、簑助・文雀さんにつぐ女形人形遣いの紋寿さん。きっと素敵な深雪だと思います。
<追記>3月の深雪後に朝顔を遣うのは和生さん。師匠である文雀さん譲りの繊細な遣いでしょうか。楽しみです。</追記>
みたいけど文楽ってチケットとるの大変なんでしょという方、それは、東京の国立劇場の初日明けの土日のチケットです。なんでもすぐ満席というわけではありません。
10月5日から全国各地をまわる文楽公演がはじまりますので、地方公演の日程と、劇場HPなどへのリンクを貼ってみました。 地方公演のチケットは早くから売り出しされていますが、もうないんじゃないかしら?と思わないで、まずはお近くの劇場に問い合わせてみてはいかがでしょう。
チケットぴあでも売っているものもあります。ぴあなどで売り切れでも、それは扱い所の割当分で、劇場チケットは別にあることが多いです。
チケットが売り切れだったり、10月は日程があわなくても、来年3月にも地方公演があります。演目は同じ。配役が異なります。
3月公演の方には簑助さんは出演されませんが、生けるがごとき人形の遣い手は、まだまだ他にも大勢。太夫の語りもすごいし、三味線はデーンと腹にきます。10月も、3月も、きっと素敵な舞台をみせて聴かせてくれるでしょう。どちらがいいかは日程次第。
今回の日経の連載で、文楽に興味をもった方、是非。
文楽地方公演一覧
昼の部 「近頃河原の達引」「義経千本桜 道行初音旅」
夜の部 「伊達娘恋緋鹿子」「生写朝顔話」
配役表はこちら(野澤錦糸さんの応援サイトの公演予定で確認できます)
2008年3月公演
2日(日)【出雲市】大社文化プレイス うらら館
14:00 18:00 3000円
5日(水)【広島市】アステールプラザ・中ホール
1階席4,000円 2階席2,000円
6日(木)【長門市】ルネッサながと劇場 14:00 18:00
1階4000(通し割引あり) 2階2500
7日(金)【大分市】iichiko総合文化センター
8日(土)【北九州市】戸畑市民会館
S・3000円 A・2000円
9日(日)【鹿児島市】かごしま県民交流センター 14:00 18:00
S3500 A2500
12日(水)【姫路市】キャスパホール
13日(木)【尼崎市】アルカイックホール・オクト
3500円
14日(金)【茨木市】茨木市民会館 大ホール
14:00 18:30 各回3000
16日(日)【豊橋市】豊橋市民文化会館 14:00 18:00
A4,000 B3,500 高校校生以下(B席)1,000
17日(月)【東京】大田 区民プラザ東急下丸子からすぐ
13:30 18:00 各回3,500
18日(火)【新潟市】りゅーとぴあ
14:00 18:30 S4,000、A3,000、B2,500、限定昼夜セット券6,500
20日(木)【東京】前進座劇場 吉祥寺駅から徒歩15分
5,800円 当日6,300円 学生4,500円 通し11,000円
21日(金)【水戸市】茨城県民文化センター
4000円 学生1000円
22日(土)【茅ヶ崎市】茅ヶ崎市民文化会館 14:00 18:00
大人4,000円 大学生:2,000円 高校生〜小学生:1,000円
23日(日)【津市】三重県総合文化センター
S席3,000円 A席2,000円 B席1,000円 (通し割引あり)
10月公演配役など → チラシ(財団法人文楽協会HPスケジュール)からをクリック
前記サイトだと昼の部の配役がでませんね(涙)。なので、私が書いた配役表を こちら
5日(金)【名古屋市】名古屋市芸術創造センター
特等席4,500円一等席4,000円二等席2,500
6日(土)【静岡市】グランシップ中ホール・大地
一般3,500円 学生2,500円
幸助さんの人形解説もあるそうです。お上手ですよ、説明。
7日(日)【本巣市】本巣市民文化ホール
2,000円
8日(月)【岡崎市】岡崎市せきれいホール 3,000円
※来年2月29日には、住大夫・錦糸さんの素浄瑠璃源氏十二段あり
10日(水)【新発田市】新発田市民文化会館
指定4000円(通し6000円) 自由2000円
12日(金)【相模原市】杜のホール はしもと
4,000円 学生3,000円
13日(土)【宇都宮市】宇都宮市文化会館大ホール
3,000円
15日(月)【札幌市】札幌市教育文化会館
S6500 S5000 B4000 C2500
18日(木)【仙台市】電力ホール
S席\4,000 A席\3,000
19日(金)【千葉市】千葉文化センターアートホール
SS6000円 S5000円 B3000円 C1000円
20日(土)【府中市】府中の森芸術劇場 京王線東府中から徒歩6分
3800円
22日(月)【横浜市】神奈川県立青少年センター 桜木町徒歩10分
A2500円 B2000円 学生1000円

