昨年に引き続いての八千代座遠征ですが、考えたら、私の初遠征は八千代座でした。
歌舞伎を始めて観たのが7月の「桜姫」で、次が八千代座での「楊貴妃」。その後、毎月歌舞伎座に通うようになったんです。
よくもまあ初めからあんな遠いところにいったものです。で、はまってしまって今に到ってます(苦笑)。
今年は、玉三郎さんの一挙一足におばちゃんたちが興奮するのを見てちょっと笑ってしまったり、傳左衛門さんたちが笑っているのを見る余裕もありましたが、感動して夢中で拍手を送っていたお客さんの姿は、昨年の私の姿です。あんなに興奮できなくなった自分がちょっとさみしくなった2年目の八千代座でした。
仁左衛門さんが、大修理の後のこけら落としでいらしたときに、「どこからみても特等席」とおっしゃったように、どこからもよくみえます、というか舞台の鼓動を感じられると思います。
昨年は2階の正面最前列、今年は1日目は歌舞伎座でいう下手側桟敷みたいな席、2日目は正面の中央桝席。いろんな八千代座を楽しみました。
2階からは舞台だけでなく、客席もよく見えるので、みんなの視線が玉三郎さんに集中している様子がよく見える。傾斜している客席がスリルたっぷり。
私が1日目に座った下手側花道横の座席は、スッポンの前で、花道から4列目、4列目からイスなので役者を見上げることなく花道をとおる役者さんがみえました。花道をつかうとき後ろ姿になってしまいますが、後ろを振りむいたときのどきどき感がたまらないし、ライトを浴びた役者さんが光の中にみえ、眼がライトを受けて光輝き、まつ毛も揺れて、はぁ〜とため息がでます。特に笑三郎さん演じる義経の悲しげな眼差しをこの席でみたときはクラクラしました。
桝席は、袖摺りあうも何かの縁という感じで、桝席ごとになごやかな交流があるし、なにより芝居小屋にきているだという楽しさが味わえる。花道の近くだったので、役者さんを見上げると、役者の顔の向こうに、覗き込む2階席のお客さんも見え、不思議な感覚。
ほんと舞台と客席が近いということが、楽しくておもしろい小屋です。
開演時間になると、公演事務局の人が注意事項を読み上げ。微妙な読み上げイントネーションはちょっと笑えます。ここらへんが八千代座らしい。
注意事項はカメラ・ビデオなどの撮影禁止、狭くて音が響くので携帯の電源を切ってほしいとのお願い。
八千代座は休憩時間でも場内撮影禁止なんです。とても素敵な絵天井なんでお見せしたいんですが、残念ながらUPできないので、八千代座のHPへどうぞ。
数日前のブログで赤い座布団をUPしてますが、あれも本当は撮影禁止なんでしょう。というか、昨年はそんなことしらず、結構ばしばし撮っちゃってから注意事項をきいたもんですから、赤い座布団のUPはお許しください。
携帯は、8日に阿国のいいところで着信音を鳴らした人がおりました。いざ鳴ったとき、恥ずかしいんだから切っときなさい!このことはまた後で。
『船辨慶』
まずは幕があいて、長唄・三味線・囃子連中の登場。長唄5人、三味線5人、太鼓、大鼓、小鼓、笛。おなじみのメンバーなんですが、7日に直吉さんがいなかった。三響会で艶やかな声を聞かせてくれた利光さんもいらしてうれしい。あいかわらずいいお声でした。
けれど、私には、やはり船辨慶はお囃子につきました。狭い分、迫力ある演奏がほんと目の前で繰り広げられて、大鼓と小鼓の掛け合いが素晴らしかった。波の荒れの表現、知盛出現の前触れ、玉雪さんの船頭のかけ声とお囃子が相乗していくときがほんとよかった。12月歌舞伎座も楽しみにしてします。
まずは弁慶の猿四郎さんの登場。私の弁慶のイメージとちょっと合わないかな。顔も小さいし、背もそんなに高くない。笑三郎も玉三郎さんも背が高いので、ちょっと小柄なのが目立ってしまった。
次に義経の登場。哀しき御大将そのもの。憂いを帯びた表情、気品、ライトに照らされた瞳が光輝いて、正直クラッとしました。やばいです。
笑三郎さん、ちょっと器用すぎるかなと逆に心配になるんですが、桜姫の長浦といい、梅ごよみの芸者といい、期待に十分に応えてますよね。
知盛を弁慶の呪術で跳ね返したというよりは、義経の少しも騒がずの堂々たる御大将の存在に勝てなかったような印象さえ受けました。今回の公演の一番のヒットでした。
玉三郎さんの静は南座で拝見していることもあり、つい衣装にばかり目がいってしまいました。本当によく見えるんです。新調した衣装が単に美しく豪華というより、とても立体的で、金銀の織りがいろいろな陰影を描き、さまざまな表情をみせてました。ちりばめられた花々が本当に美しかった。
どうやら一日交代で、チラシの衣装と、南座のために新調した衣装を着ていたようです。2日間見たので、両方見られてよかった。
知盛は、南座のときより哀しげ。目は伏し目がち、隈が少なめだったということもあるのでしょうが、義経をたおすというより、平家の無念のために成仏しきれない哀しき霊だった気がしました。最後は、すっぽんに消えず、寂しげに花道を去っていきました。
最後の方で、前髪をもち顔をあげて義経を睨むときが、ひどく恐ろしく、南座のときも「ひえっ!」と思ったんですが、2日目の枡席からはちょうど見上げるところだったので、怖いものみたさでじっと見ていたら、そのとき、目がほんとに血走り、怨みの念が放出されました。あの表情はしばらく脳裏に焼きついているでしょう。
八千代座の舞台ではちょっと狭いのではないかと思いましたが、濃密で緊張感あふれる船辨慶でよかったです。でも、静かに進む演目なので、おばちゃんたちの緊張も長くは続かず、おねむになっちゃっている人も。目の前の人は、桝席にもたれ、口を開けて爆睡してました・・・もうちょっとがんばりましょう。
『阿国歌舞伎夢華』
楽しかった、これにつきます。
昨年12月の歌舞伎座のは、見始めたばかりで、昼の部みた後そのまま幕見に並んで、結局4回ほぼみたかな。実は「ザ・玉三郎ショー」みたいだ・・・と思っていたので、正直あんまり期待してなかったんです。
玉三郎さんにつき従う女形軍団みたいだったのが、八千代座サイズに華やかになって、ほんとの阿国の歌舞伎おどりを見に来たような感じがしました。
あの鬘と衣裳がほんとにお似合い。キャーキャーいいたくなるのわかります。
阿国の帯は橙、山三の帯は紺色で、ちょっとマフラーみたいに端がふさふさしているペアルックになっていたのがかわいかった。
歌舞伎座では阿国の衣裳はいいもの使ってそうだけど、他の人たちの衣裳はちょっと薄っぺらく見えてましたが、近くでみたせいか、ライトのせいなのか、八千代座ではどの衣裳も凝っているんだなと思い知りました。
段治郎さんとの踊りもゆったりとしててよかった。歌舞伎座のときは、ついていくのが必死みたいに見えていたけど、今回は二人の踊りがほんと流れるようで、ああずっと観ていたいなぁとほぉ〜と見とれておりました。「くるくると〜」がまだちょっと頭の中をかけめぐっております。
しかし、とにかく、歓声がすごかった〜!花道から現われたときの「ぎゃ〜」というような悲鳴に近い歓声で勢いがついたのか、手をあげても「キャ〜」、振り向いても「キャ〜」、何しても「キャー」、すごかった。「きれい、きれい」とつぶやきまくっている人もいたし。拝んだまま観ていた人もいました。
2年目の私は、ちょっと醒めちゃって苦笑していたけど、昨年の楊貴妃に私も興奮してたっけと懐かしく思いながら、みなさんと一緒に楽しませてもらいました。
さっき爆睡していたおばちゃんも前傾姿勢、小屋中の視線が一点に集中してました。
ただ、8日は、名古屋山三がスッポンに消えたあと、花道に伏している玉三郎さんのちょうど後ろの席で、携帯の着メロが流れ、一瞬凍りつきました。よりによって、一番静かで悲しい場面で、玉三郎さんの真後ろですよ。すぐ、名生さんの笛がかぶさったのですが、「山三はどこ?」と探す阿国の姿が、「鳴っているのはどこ?」みたいにも見えてしまった。本当に最低最悪の場面で鳴らしやがって!と怒りたくなりました。
そういえば7日には、客席の後ろの廊下の方から、扉をしめる音とか足音が聞こえていて、スタッフいいかげんにしてっ!と思っていたら、それは写真をとりに来ていた篠山紀信さんでした。
八千代座での玉三郎さんの写真みたい!噂の写真集はいつなんでしょうね。
お楽しみのアンコールは2回でした。膝たちしてる人も多かったし、やはり八千代座の一番のお楽しみです。満喫いたしました。
昨年は、花道まで使って、ほんとにすみずみまで挨拶をしてくれましたが、やはり今年は出演者も多いのでそれはなし。
今日の千穐楽はどうだったんでしょうね。
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昨年,誘われたノリと勢いだけで行った八千代座.「コレが最初で最後よね・・・」なんて思っていたはずなのですが・・・色々思うところがありまして,今年も行ってしまいましたよ!もう来年は行けないかも,とは言えない気がしてはいますが・・・どうなるのでしょう?金丸座
写真入り筋書きなりとも購入しようと,南座へ。思いがけなく,「夢のようなお席が一枚
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TBありがとうございます。
知盛の霊の捉え方が同じで嬉しかったです!
「桜姫」からのスタートでここまで詳しく・・・
すごーーーい!
かく言うわたしは澤瀉にはまって5年
最近やっと傳左衛門さんの鼓の音に
聞き惚れることが少し出来るようになった感じです。
8日の携帯事件、
実はすぐそばのお席でしたので
こちらがドキドキしてしまいました・・
張本人のおじさんも焦ってましたが
あまりにもタイミングが悪すぎ!
初訪問で長文、失礼しました。
まこさん,昨年の桜姫が初観劇だったのですか!
すごい勢いでハマってしまったのですねぇ!そして素晴らしい審美眼!
センシュウラクに知人が行っていたのですが,客席のおばさま方の盛り上がりがすごがったみたいです.カーテンコールも4回だったとか(私が行った日曜は3回でした).
そう、桜姫からなんです。
「玉三郎」の名前はよく知っていましたが、舞台を観たのは、DVDの京鹿子娘道成寺を6月にみたのが最初ですから、自分でもびっくりのほんとすごい勢いでした(苦笑)。
加速させたのは八千代座でみた楊貴妃のカーテンコールです。
千穐楽のカーテンコールは4回ですか、いいなぁ、すごかったんだろうなぁ。観たかったなぁ。邪道といわれようと、私はカーテンコール大好き派ですから。
原点みたいな小屋なので、きっと八千代座はやめられない気がします。
桜姫からなんです。
だから、私の玉三郎観劇歴は、おもだか観劇歴とも重なります。
もっともっといろんな舞台で活躍していただきたいです。12月歌舞伎座も楽しみにしてます。
風知草のとみといいます。
昭和の桜姫を知ってます(爆)。
興奮しやすいおばちゃんの一人ですが,玉様の一挙手一頭足,小道具,視線の先,相手役のお衣装も玉三郎丈の一部。見逃しません。
八千代座からおかえりなさいませ。
ハプニングも含めた詳細なレポ,ありがたく拝読致しました。日替わりのお衣装が気になります。
ご尊顔怖いですね。にらまれる義経弁慶主従は眠れないのではないでしょうか。
毎月歌舞伎座に行かれるとか。もし,お許しいただければのぞかせて頂きます。
こんなもんでもよろしければ覗いてやってください。
はまった舞台はしつこいほど細かく書くのが特徴であり欠点ですがお許しいただけますよう。
どうぞよろしく。